kishimotomann’s diary

人生の甘露の一滴になっていただければ

ドラマ医龍の中でドール手術きょうみがあって

ドラマ医龍ででてきた手術が気になり文献を調べました

 

モナコの大御所当時) Vincent Dor先生が考案された左室形成術ですドール手術は比較的簡便な良い方法で慣れた術者なら短時間ででき病気の場所ややり方によっては有用なことがよくありますとくに心尖部に近いところに病変がある場とくに心尖部に近いところに病変がある場合ドール手術は良い選択になります 心筋梗塞部と健常部の境目に糸フォンタン糸、Fontan suture)をかけ梗塞部を縮めあるいはそれ以上広がらないようにしたうえでパッチで梗塞部を守る実に理にかなった素晴らしいアイデアと今なお感嘆と敬意をもってDor先生の見識を振り返っていますドール手術の限界はしかしそれほど優れたドール手術にもやはり限界が見えます心室中隔の基部まで病変部が及ぶようなケースでは普通にドール手術を行うと左室が丸くなり(球状化)、心機能とくに拡張機能が悪くなり患者さんは元気になれません重症例ではいのちの危険があることさえあります一部でパッチを楕円形にすれば良いという議論も聞かれましたが通常はそれでは不十分と考えますというのはパッチを縫着するまでにつまりフォンタン糸を結んだ段階で左室はすでに丸くなっているからです私たちはこのドール手術の簡便さつまり短時間でできて患者さんの負担が少ない利点とセーブ手術のジオメトリー温存・心尖部温存できる特長を活かした新しいドール手術を用いています方向性Dor手術などと呼んでおりくわしく検討中ですがこれまで13例すべて順調でその中には超重症も含まれており新しいドール手術は心筋症・心不全の治療成績をさらに改善するかも知れませんこれまで国内外の学会で発表しより改良を図って参りましたこうしてドール手術は完成度の高いものに育ちましたがこの数年間はさらに改良を加えた心尖部凍結型左室形成術を中心に左室形成を行うようになりその低侵襲性つまり体への負担が少ないゆえ治療成績の一層の向上が見られています